ブリティッシュ・プラグマティズム

Bromptonの何が良いと感じるかは人それぞれだと思うが、とにかくお洒落である点を気に入っている、という人はたぶん少なくないだろう。実際、Bromptonは品揃えがカラフルでいろいろなカラーのパーツを組み合わせることができるし、専用のバッグ類も充実している。わが国の輸入代理店のブログからも、お洒落なミニベロとしてのBromptonのイメージを発信しようという意図がびんびん伝わってくる。

 

しかし、武論富敦旅をするブレロにとって、Bromptonの主な美点は別のところにある。それは第一に(他の追随を許さない)折りたたみサイズのコンパクトさであり、第二に耐久性である。

 

単に耐久性といってしまうと無味乾燥な感じがするが、Bromptonの耐久性は二つの美学に立脚している。第一に、実用性を極めたモノはおのずと美しくなるという機能美の美学であり、第二に、モノを大事に長く使い続ける人生はおのずと美しくなるという美学である。この二つの美学に立脚した耐久性の哲学を、われわれは敬意をこめてブリティッシュ・プラグマティズムと呼んでいる。

 

ところで、サイクルショップの老舗中の老舗である和田サイクルは、最近そのブログの中で、2000年前後に製造されたBD-1のフレーム破断について改めて警鐘を鳴らし始めた(下掲写真はインラインリンクで表示)。

 

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アルミフレームの寿命は比較的短いとは聞いていたが、実際に破断例やクラック例を写真で見せていただくとショックを覚える。それでも20年近く乗れたのならもったほうではないかと思うし、ほかにどのくらいこうした事例が起こっているのかは定かではない。ただ、和田サイクルの上記ブログは、製造してから4年を経過したbirdy等は経年劣化して故障が増えると指摘しているし、古いモデルは念のため乗車ごとに点検してほしいと訴えている。

 

一方で、Bromptonがいかに頑丈で耐久性を備えているかについては、北海道のサイクルショップである南風さんが詳しく説明してくれている。

 

 

Bromptonよりも見た目がスポーティだったり、アイコニックなスタイルをもつミニベロはほかにいくらでも存在するだろう。しかし、決して流行に惑わされることなく、半世紀近くもほぼ同じスタイルの自転車を作り続けるBromptonには、そうした見た目の美しさを超える美しさ、豊かな経験のフィードバックに裏打ちされた機能美の美しさがあると思う。

 

英国を含むヨーロッパでは、新築の家よりも古い家が好まれ、少しずつ手を入れて長く使い続けることが尊ばれている。上掲の動画で南風さんが言われているように、自転車であっても子から孫へと受け継がれていくことを可能にするようなブリティッシュ・プラグマティズムを体現した自転車こそがBromptonなのだろうと思う。