リーグ1・サッカー観戦(ただしアウェー側)

フランスに転勤してからの1ヵ月間は、基本的な生活環境や勤務環境を整えるのに時間がとられ、また休日は息子のブレロ3号の世話に手がとられるので、武論富敦旅を全く実行できずに過ごしてしまった。愛機は、もっぱらマタビオ駅から勤務先に移動するための通勤手段として使用している。トゥールーズの地下鉄は車両が小さいのに捕まるところが限られており、時間帯を問わずストレスを感じやすいので、自分としてはあまり利用したいとは思わない。

 

最近の日本は季節が二季化している(夏と冬だけ)といわれているが、こちらではまだ秋の存在がたしかに感じられる。市内の大通りには壮大なプラタナスの並木があり、その葉の色の変化や道路に落ちる枯れ葉の数から、深まる秋が感じられる。

 

先週は金曜日がこちらの祝日(諸聖人の日)であり、3連休であった。金曜、土曜とブレロ3号の世話に疲れたブレロや妻氏は、日曜くらいは自分たちのレジャーに使おうと考え、トゥールーズ・スタジアムにサッカーを観に行くことにした。観戦したのは、リーグ・アンの第10節に相当する試合である。対戦相手のランスでは、周知のように日本人選手が二人レギュラーとして活躍している(伊東純也選手と中村敬斗選手)。なのでブレロ一家は、今回はランスを応援しようと考えた。

 

実は、フランス・リーグの試合でアウェー側チームを応援するのは、ブレロにとってこれが初めてである。色々な意味で新鮮な体験となった。「新鮮な体験」というか、「勉強になった」というべきかもしれない。

 

まず、スタジアム外苑入口が、厳格にホーム・サポーター用とアウェー・サポーター用で区別されていた。アウェー・サポーターの座る席は決まっているので、スタジアムの入口が区別されているのは当然といえるが、外苑入口まで区別されているとは思わなかった。そこまで行くにはかなりの遠回りをしなければならず、3歳のブレロ3号を連れていくのは容易ではなかった…。

 

トゥールーズ・スタジアムの座席数は3万2000を超えるが、当日、アウェーのサポーター用に割り当てられた座席は1000席のみであった。北部のランスから南仏まで旅行するのは大変であるから、実際には1000席がランスのサポーターで埋まることはなく、ガラガラといっても過言ではなかった。しかしフランス・リーグでは下位にとどまるにもかかわらず、トゥールーズ・サポーターは大勢詰めかけていた。このあたりが、サッカーがいかにフランスに根付いているかを物語っているように思われる。

 

困ったのは、アウェー・サポーター席を囲むように鉄柵が設置されていただけでなく、その上部もネットで覆われていたことである。そのせいで視野が非常に狭くなり、フィールドの一部が常にネット越しでないとみえない状態だった。

 

 

試合は、残念ながら調子を落としているランスがまたも勝てず、虎の子の1点を守り切ったトゥールーズが勝利した。試合終了後、中村選手がずっとピッチに座り込んでうなだれている姿が印象的であった…。ランスの選手たちがアウェー・サポーター席の近くまであいさつに来たが、妻氏は伊藤選手と中村選手を間近にみれて喜んでいた。

 

ただ、試合が終わって(ブレロ3号の食事や就寝のため)すぐ帰りたいわれわれにとっては不都合なことに、アウェー・サポーターはしばらくスタジアムから動けなかった。トゥールーズ・サポーターとの妙ないさかいが生じることを恐れているからなのか、十分ホーム・サポーターがひけてからでないと、出口が開放されなかったのである。おかげでミュレの家に帰宅するための電車に乗るのが数分遅れ、1時間以上、次の便を待たなければならなかった(おかげでブレロ3号の世話に疲れた妻氏が、不機嫌になってしまった)。

 

このように、フランス・リーグにおけるアウェーの観戦というのは思った以上に苦労させられることを知り、勉強になった※。まあ、この国のすべてのスタジアムが同様とは限らないけれども…。

 

※ 事前にいろんな人のブログをみれば知り得たことかもしれないが、そういう情報を探す時間がもったいなくて調査を十分行わなかった。