かわせみ河原で真冬キャンプ
昨年は夏に1回キャンプしたが、その時は妻氏と彼女の母(義母)がブレロ3号とともに鬼怒川温泉に宿泊した機会を利用させてもらった。
それ以来(育児のため)全然キャンプできなかったが、妻氏が再び機会をくれた。彼女と彼女の親友が、伊豆修善寺温泉にブレロ3号と泊まりに行ってくれることになったのだ。
ブレロはこの機会を利用して、房総海岸のどこかのキャンプ場で、海に沈む夕日をみながらソロ・キャンプするつもりでいた。しかしあいにくなことに、予報では当日の天気は崩れるという。いろいろ頭を悩ませたあげく、埼玉県寄居町のかわせみ河原でソロ・キャンプすることにした(正確にはブレロ2号〔柴犬〕と一緒)。
ここは町が運営しているせいか、水場もトイレもしっかりあるのに、たった1000円で利用できるキャンプ場である。
そこで浮いたお金を有効に使おうと思い、ネット上では評価の高い寄居町のうなぎ屋さん「八千代」で昼食をとることにし、前日予約をいれておいた。渋い門構えのこじんまりとした店だが、入ってみるとけっこうお客さんがいた。ただ突然訪問したとしても座れないほどではなかったように思う。定番のうな重「竹」を注文したが、とても美味しかった。
店を出るとき、ここの店員さん?の髪を金色に染めたお兄さんに話しかけられたが、「東京から来た」というとびっくりされてしまった。ただうなぎを食べに来たのかといわれたので「寄居にキャンプしに来た」というと、さらにびっくりされてしまった。そして「寒いので、あったかくして、風邪をひきませんように」といわれてしまった。
キャンプ好きの人なら「いいですねー、楽しんでくださいねー」といいこそすれ、おそらく「風邪をひきませんように」とはいわないだろうから、キャンプをあまりしない人なのだろう(もったいない)。このお兄さんにとって寄居は、「飲み屋くらいしかない、夜しか楽しみがない町」らしいが、ブレロにとっては、良いキャンプ場がいくつか存在する実に良い町である。
まあ、実際に住んで働くというのは別で、たまに訪れるから良い町なのかもしれないが。
うなぎを食べてすぐキャンプ場に行くのもどうかと思い、長瀞方面へドライブすることにした。宝登山でロウバイが見ることができるのではないか、と思ったのである。
確かにロウバイは咲いていたが、まだ2分咲きといったところか。それでもところどころきれいな花が咲いていたし、武甲山を望む景色はすばらしかったし、ブレロ2号も喜んでいたので、よしとすることにしよう。
かわせみ河原キャンプ場に向かう。到着してみると、真冬だというのにけっこうなテントの数。河川敷の奥(上流の方)まで進まざるをえないが、あまり奥や川に近い場所へ進むと砂で車がスタックしやすいので注意しないといけない。入口から200メートルくらいのところ、すでに張られていたテントの間に場所を見つけて、あまり川に近づきすぎないように車を止めた。
地盤が小石か砂利なので、ペグを打ち込むのに苦労した。なんとか暗くなる前にタープとテントを張り終えたが、夜になって不意に風が強くなると、テントを止めていたテントシートの四隅のペグが抜けてテントが転がってしまい、またタープを支えていたペグの一つが抜けてしまった。
ブレロは驚きあわてて暗い中でテントをもとの場所に戻し、急いでテントシートを敷きなおしたが、よく見えないのでシートの裏表を逆にしてしまった。テントは風で飛ばないように、車をもう少し前に出して風上に置き、風をさえぎるようにした。タープももう一度張り直そうとしたのだが、地盤が非常に悪いため、ポールを立てるための紐を結ぶペグの一か所がどうしても決まらず、結局、タープ後部のポールを立てることを諦めて、地面にタープを直接ペグで止めることにした。
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ロウバイ園1
武甲山を望む。霞の下の町を見下ろして。
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ロウバイ園2
山並みを背景にピンクの花を。
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ロウバイ園3
ほとんど咲いていなかったが、ところどころにきれいなロウバイが。
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八千代さんの
うな重「竹」。ふっくらして美味しい。
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夜想曲を聴きながら
焚き火の炎に癒される。
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翌朝の荒川
川をみながらお昼近くまでのんびりデイ・キャンプ。
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川端康成を
読みながら、焚火にあたってデイ・キャンプするブレロ。
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翌日のかわせみ河原
午前11時頃。多くのキャンパーがチェックアウトしてすっきりした河原が広がる。
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足元でくつろぐ
ブレロ2号。少しはサービスになったかな。
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手打ちうどん
「とき」というお店で。すごく腰がある。薬味のみかんの皮もとてもよかった。
このアクシデント以外は、総じて快適なキャンプ時間だった。ネックスピーカーを使ってショパンの夜想曲(ダン・タイソン演奏)を聞きながら、ぼんやりと火をみて過ごす時間は最高だ。「nocturne(夜想曲)」は一般に「夜の曲」の意味だというが、一説には、朝になって思い出す昨晩の感興(パーティのそれ)を音楽にしたものであるという。この楽曲形式の創始者であるアイルランドの作曲家ジョン・フィールドは、結構、破滅型の性格の持ち主なので、この説が正しいのかもしれない(よくわからない。後できちんと調べてみるか…)。「夜に想う曲」なのか、「朝になって想う夜についての曲」なのか、どちらが本当かはわからないが、いずれにしても、フィールドやショパンの夜想曲は、夜一人で聴くのに適した音楽だと思う。とくにショパンの場合、個人的にはダン・タイソンの演奏が最高だと思っている。
ところでタープが風で倒れたとき、隣のキャンパーの人が心配してブレロの様子を見に来てくれた。この方はバイクでソロ・キャンプに来ていた人である。こうやっていろんなキャンプ場に行くと、ライダーがソロ・キャンプしているのをしばしば見かけるが、その姿は遠めに見ても詩的で、ブレロが密かに憧れる世界である。この方も実にかっこよかった。
↑隣のキャンパーの人が作成した動画。19分57秒あたりでブレロ2号出演、20分6秒あたりでブレロも出演。
予報によると、深夜午前3時ころにまた少し風が強くなるという。結局、タープは解体して寝ることにした。
タープが倒れたりテントが飛ぶ、という経験は今回が初めてだが、これを糧にもう少し丈夫で長いペグや、テントを地面に固定する紐を新調しようかと思う。